令和5年度の「エネルギー使用合理化シンポジウム東北」は、3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuの活用に向けた講演のほか、令和5年度エネルギー管理優良工場の省エネルギー取組事例を紹介するものです。
このシンポジウムの中で「経営トップと社員が一体となり取り組んだ持続可能な温泉リゾートの実現」と題して、省エネ推進するための準備と計画実行のポイントについて講演させて頂きました。
令和5年度エネルギー使用合理化シンポジウムの概要
2024年2月22日、日立システムホール仙台で実施されたイベントになります。
講演者の皆さんの緊張が伝わってきて、私の番になると膝がガクガク震えましたが、何とか乗り切りました。
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省エネ活動のポイントを講演しました
講演内容は、令和5年度エネルギー管理優良工場で表彰頂きました事例紹介ということでしたので、エネルギー管理企画推進者の私と会社が取り組んだ内容を発表させて頂きました。
次から講演で使用したスライドを使って省エネ活動のポイントを紹介しますので、省エネ活動を始めてみたい方は参考にして下さい。
会社概要
宮城県で温泉宿と飲食店を経営する創立から73年続いている株式会社一の坊という会社になります。
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日本三景の松島湾を眺望できる『松島一の坊』と、里山を大自然を体感できる『ゆづくしSalon一の坊』という温泉宿での省エネ活動がメインになります。
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会社組織は、各営業所(ゆづくしSalon一の坊・松島一の坊・田里津庵・和火一)を支援する形で本社組織があり、その中にある『施設管理支援センター』と各営業所にある『施設管理』が省エネ活動の中心的な役割を担っています。
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会社全体では快適エコ活動推進委員会(後ほど紹介)で中長期的視点での省エネ活動を推進するとともに、各温泉宿の施設管理スタッフが日々のエネルギー管理業務を行っています。
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快適エコ活動の紹介
快適エコ活動とは、団体客向け既存設備の改修と運用を、お客様の笑顔と社員の幸福という二つの快適を念頭に改善した省エネ活動になります。
その活動指針は以下のとおりです。
- お客様の快適性を損なわないこと
- 全社員がエネルギーの無駄を自ら発見し、改善提案すること
- 温泉宿としての再生可能エネルギーを利用すること
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快適エコ活動の推進組織は、社長を責任者として、施設管理支援センターが補佐し、グループ会社を含む温泉宿の施設管理担当者で構成されており、経営陣と現場が一体となり省エネ活動を実施する組織体になっています。
この委員会は毎月開催され、省エネ改善の運用報告や提案などを行っています。
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快適エコ活動の取り組みの考え方の基準を定め、事業化を円滑に実施しています。
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特に独創性ある事項としては以下の内容があります。
- 再生可能エネルギーの利用促進のため、温泉宿の先駆者として温泉廃熱利用を率先して実践して成果を出しています。
- 投資効果を向上させる制度の利用として、補助金・減税処置・省エネ診断を積極的に活用しています。
- 実効性ある事業推進のため、部外協力者と連携した事業体制に留意しています。
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設備改修及び設備運用に区分した快適エコ活動アイテムという有効な省エネ手段をピックアップし、その省エネ率・投資回収年数の基準を定めることで、省エネ改善として事業化する目安として利用しています。
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PDCAサイクルを年度に捕らわれずに早く回転させ、省エネ活動の削減成果を早く目に見える形で実現することが重要になります。これにより役員も投資回収の目途がたち、事業が円滑に推進していきます。
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快適エコ活動の成果
ここからは、ゆづくしSalon一の坊の内容となりますが、5年間の快適エコ活動により、約25%のエネルギー使用量の削減成果となりました。
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エネルギーの使用合理化の顕著な成果
エネルギー使用量削減に大きく効果のあった内容は下表のとおりですが、『温泉廃熱利用システムの導入』と『デマンド監視装置』の2点について紹介していきます。
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温泉廃熱利用システムの導入前は、浴槽からのオーバーフロー水やカランり用水は、廃湯槽に集められ30℃前後の熱をもったまま排水されてただけでしたので、地球の恵みがもったない状況でした。
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また、システム導入前は、温水ヒーターで浴槽保温のための昇温、貯湯槽の温度管理のための昇温を実施していました。
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システム導入後は、廃湯槽に集められた温泉水を二重管式熱交換器で熱回収し、更に必要な温度まで電気式ヒートポンプで昇温し、クッションタンクに45℃程度で蓄熱します。
この蓄熱された熱量を用いて、浴槽昇温や貯湯槽への補給水予熱などを行うことで、温水ヒーターの負荷を軽減しています。
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導入効果ですが、温水ヒーターの重油使用量が年間59,600l減少し、電気式ヒートポンプの電気使用量が年間86,298kwh増えましたが、年間で約193万円の経費削減となりました。
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その投資回収は、補助金を利用することで約6年となっており、弊社既定の先駆け事業として期待とおりの成果となっています。
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こちらは設備運用として実施した成果になりますが、デマンド監視装置の有効活用により、年間基本料金64万円を削減したものになります。
今回は客室空調機の電源投入時期を一斉投入から逐次投入に変更したことによるものですが、これにより客室清掃スタッフの業務負荷にならない様に集中コントロールも並行して導入し、客室に行かずにパントリーなどで空調機の電源操作ができるようにすることも大事です。
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IoTを活用した取組み
東北電力さんが提供するexEMSを導入することで、24時間先までのデマンド予測値がオンラインでモニタリングできますので、電力使用量の大きい設備の運転時刻の見直しなどでデマンドコントロールがしやすくなります。
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まとめ
水道光熱費が売り上げに占める割合が10%を超えると、会社経営が苦しくなっていきますので、自社の水道光熱費を当たり前の金額と考えず、削減の可能性を探ってみることの一助になれば幸いです。😊positive smile