日本株は企業業績が良い割には株価が割安になっており高配当銘柄が多く存在しますので、高配当銘柄をパックした特徴の異なる以下の4つの高配当ETFを米国株高配当ETFも交えながら紹介していきます。
- 1478(iSMSCI高配当):HDVに類似した財務健全な約40銘柄
- 1489(NF・日経高配当50):SPYDに類似した日経平均255社の高配当な約50銘柄
- 1698(上場高配当):VYMに類似した東証上場の高配当な100銘柄にリスク分散
- 2564(GXスーパーディビ):DIVに類似した高い配当利回りの25銘柄を均等組み入れ
日本株高配当ETFの概要
日本株高配当ETFは、分配金利回りの高い日本株式で構成されたETF(上場投資信託)で、特定の株価指数などに連動した値動きをしますが、日本株は高配当の銘柄が多く存在しますので、値動きによる利益だけでなく、定期的な分配金からも配当利益を期待することができます。
日本株高配当ETFのメリット
- 分配利回りが高い
- 複数銘柄に分散投資ができる
- 米国株ETF(米国課税10%+国内課税20%)と比較すると、国内課税のみのため、新NISA利用で一切課税されない
- 米国株ETF(為替リスク+為替手数料)と比較すると、為替の影響をほぼ受けない
日本株高配当ETFのデメリット
- 成長性は高くない
- 投資信託と比較すると、分配金は自動で再投資できない
- 投資信託と比較すると、自動積立できないことがある
日本株高配当ETFの比較
異なる特徴の4つの日本株高配当ETFの概要を以下に示しますが、1698(上場高配当)が新NISA成長枠に現時点では登録されていないのが気がかりです。
- 1478(iSMSCI高配当)は、配当利回り・配当の継続性・企業の財務体質に優れた銘柄で構成されており、安定した配当収入を得ることができますので、米国ETFのHDVに類似しています。特に経費率が最も安いのがメリットですが、分配金利回りが低いのがデメリットになっており、新NISA成長枠に登録されています。
- 1489(NF・日経高配当50)は、日経平均225社の中から配当利回り・流動性を重視した50銘柄で構成されており、ある程度の高配当を期待できますので、米国ETFのSPYDに類似しています。特に、純総資産が2,673億円と多いのがメリットですが、最低購入額が高いのがデメリットになっており、新NISA成長枠に登録されています。
- 1698(上場高配当)は、東証上場銘柄のうち、時価総額・配当利回りに優れる100銘柄に分散しており、安定した配当収入を得ることができますので、米国ETFのVYMに類似しています。特に構成銘柄数100にリスク分散しているのがメリットですが、最低購入額がやや高いのがデメリットになっており、新NISA成長枠に登録されています。
- 2564(GXスーパーディビ)は、日本株で相対的に高い配当利回りの25銘柄を均等に組み入れており、高い配当収入を得ることができますので、米国ETFのDIVに類似しています。特に分配金利回りが3.03%と非常に高い配当利益がメリットですが、運用期間2年程度と短かく未知数部分があることがデメリットになっており、新NISA成長枠に登録されています。
なお、新NISA成長枠対応は、(財)投資信託協会の対象商品リスト(https://www.toushin.or.jp/static/NISA_growth_productsList/)で確認できます。
分配金・分配金利回りの比較
下の表の分配金は、一株あたりの分配金になります。
下図の分配金推移では、各ETFともにコロナ影響下の2020年~2021年は下がりましたが、2022年以降はコロナ前より増配傾向になっています。
財務健全性の1478とリスク分散の1698は緩やかに推移していますが、高配当を追求する1489と2564は景気動向に敏感に対応した動きとなっています。
分配金利回りでは、2564、1489、1698、1478の順で高利回りとなっていますが、1698だけは年4回の分配金がほぼ同じ金額になる様に均一化を図っているのが特徴あります。
日本株高配当ETFの構成銘柄の比較
共通
- 卸売業(商社の三菱商事・三井物産などの高利回りの大型銘柄)は、4つのETF全てでトップ5に入っています。
- 化学と建設業は、各ETFで比率に違いはありますが4つのETF全てに入っています。
- 銀行業(三菱UFJ、三井住友、みずほの三大メガバンク)は、2つのETF(1489、1698)のトップに入っています。
各ETF
- 1478:デフィンシブ業種が34%占めており、景気後退局面でも安定的な高配当を狙う構成となっております。
- 1489:デフィンシブ業種が18%占めており、ある程度のリスク分散を取りながら柔軟に景気敏感株の比率を高め高配当を狙う構成となっています。
- 1698:デフィンシブ業種が22%占めるとともに、各業種10%以下を基準に銘柄分散しており、景気動向に左右されずに安定した高配当を狙う構成となっています。
- 2564:海運業、鉄鋼、証券・商品先物取引業という景気敏感株の代表格が全て入っており、利回りを第一優先で狙う構成となっています。
構成銘柄の評価
運用スタイルで選べますので、あなたの考えを整理して選定してください。
- 株価変動に一喜一憂せずに長期投資をしたい方:1478、1698のどちらかを選択してください。
- ある程度のリスクを取りながら高配当も目指したい方:1489をお薦めします。
- とにかく高配当を追求したい方:2564になりますが、新NISAで長期投資をされるのであれば、1478と1698の補助的な運用をお薦めします。
日本株高配当ETFのトータルリターンの比較
Bloomberg(2023.8.24)で調べた結果は、以下のグラフになりますので、ある程度長期的な5年間でのトータルリターンで比較すると、
1489、1478、1698の順で5年トータルリターンが高くなっています。
日本株高配当ETFのランクづけ
今までみてきた比較データに基づいてランクづけしてみると、1478と1698が最も優れた日本株高配当ETFになりましたが、参考程度にしてください。
日本株高配当ETFと米国株高配当ETFの比較
1489とSPYDの分配金利回り比較
下のグラフは、日本株高配当ETF「1489」が連動する日経平均高配当50指数と米国株高配当ETF「SPYD」が連動するS&P500 High Dividend Index指数ベースでの2017年末からの過去12か月配当利回り比較になりますが、双方ともに概ね同程度の4~5%前後の推移となっています。
上のグラフは、Bloombergのデータをもとに野村アセットマネジメントが作成したものです(期間:2017年12月末~2023年6月末、日次)
1489とSPYDのトータルリターン比較
下のグラフは、日本株高配当ETF「1489」が連動する日経平均高配当50指数と米国株高配当ETF「SPYD」が連動するS&P500 High Dividend Index指数の2017年末からのパフォーマンス比較になりますが、日米両国の経済状況及び金利政策等による影響を受けながらも、双方ともにコロナ影響から回復して増加傾向になっています。
なお、2022年末時点での指数は大きな隔たりが出ていますが、これは、米国が高金利政策により高配当株の魅力が低下して資金流入が停滞して指数低下していますが、日本は低金利政策が継続して高配当株に資金流入して指数上昇していることから発生しています。
上のグラフは、Bloombergのデータをもとに野村アセットマネジメントが作成したものです(期間:2017年12月末~2023年6月末、日次、現地通貨ベース、配当込みグロスリターン指数、2017年12月末=100として指数化)
日米高配当ETFの総合比較ランク付け
米国株高配当ETFも気になると思いますので、総合的に比較検討してみたところ、僅差ですがVYMとSPYDが一位になりました。
以下のブログで詳しい比較内容を確かめて高配当ETF運用の参考にして頂ければ嬉しいです。
新NISAでの運用
日本株高配当ETFを新NISAで運用すると、デメリットの一つである資産を最大化するのには向かない中で、分配金を受け取るたびにかかる国内課税20%を非課税にできますので、資産の目減りを減らすことが出来るというメリットになります。
なお、新NISAの成長投資枠で運用すると、年間10万円の分配金が、国内課税なしで10万円で受け取ることが出来ます。新NISAを利用していないと、国内課税され8万円の受け取りになってしまいます。
新NISAの成長枠での高配当ETFの運用方法を以下のブログにまとめていますので、ご覧頂ければ嬉しいです。
まとめ
新NISAで、米国株高配当ETFでの為替リスクや為替手数料を考えずに運用できる日本株高配当ETFを検討した資料になりますので、ご活用頂ければ嬉しいです。
なお、1489は最低購入金額が5万円以上して投資初心者などには手が出しにくいですので、少額投資で1489と似たETFを組みたい方は、1478と2564の比率を7:3程度で組み合わせることで可能となりますので参考にしてください。・・・positive smile😊