資産形成

高配当ETFの日米比較ランキング!

お悩み人
高配当ETFは、日本株と米国株のどちらを新NISAで購入したらよいですか?
日米双方の高配当ETFの比較を2級FP技能士の筆者に行ってもらいましょう!
案内者

高配当ETFを選ぶ際のポイントは、リスク分散・分配金利回り・トータルリターン・為替リスクの大きく四つで比較すると、長期保有に適した高配当ETFを見つけ出すことができます。

結論は、ここ5年間の運用実績からは日本株高配当ETFが優勢ですが、長期的な将来性を加味すると米国株高配当ETFが優勢になります。

日米の高配当ETFの概要

今回比較検討するETFは、それぞれで優秀で特徴のある2銘柄を選定して行います。まず、それぞれの高配当ETFの概要を説明します。

米国株高配当ETFの概要

米国株高配当ETFの代表的なものとして、下表のSPYD・VYM・HDVの3つがありますが、最も優秀なVYMと、高利回りなSPYDの2銘柄を比較対象とします。

上記3銘柄の詳細は以下のブログに整理してありますので、米国株高配当ETFに興味のある方はご覧頂ければ、『VYM』が優秀な理由がお分かり頂けます。

日本株高配当ETFの概要

日本株高配当ETFの代表的なものとして、下表の1478・1489・1698・2564の4つがありますが、優秀な14891698の2銘柄を比較対象とします。

上記4銘柄の詳細は以下のブログに整理してありますので、日本株高配当ETFに興味のある方はご覧頂ければ、『1489』『1698』が優秀な理由がお分かり頂けます。

日米の高配当ETFの比較

高配当ETFを選ぶ際のポイントとなりますリスク分散分配金利回りトータルリターン為替リスクの四つの項目で比較していきます。

リスク分散での比較

長期視点で高配当ETFを運用していくには、不景気になっても安定した分配金を受け取れる銘柄に分散投資していることが重要ですので、景気に左右されにくいデフィンシブ業種のバランス・業種別配分のバランスの視点で判断すると、以下の順になります。

  1. VYM:デフィンシブ業種の比率が高く、幅広い業種の400銘柄以上に分散投資されています。
  2. 1698:デフィンシブ業種の比率が高く、幅広い業種の100銘柄以上に分散投資されています。
  3. 1489:デフィンシブ業種の比率は少ないですが、同じ業種に極端な偏りのないバランスで分散投資されています。
  4. SPYD:デフィンシブ業種の比率は少なく、不動産等の景気敏感株への偏りがありますが、ある程度分散投資されています。

分配金利回りで比較

各ETFの分配金利回りは、下表のとおりですが、以下の部分で米国株高配当ETFが不利になります。

  • ETF購入時円を米ドルに両替買付手数料が発生しますが、金融機関によって料金に差が出ますので、今回は金融機関で最安料金で算定しています。
  • 分配金受領時米国課税10%が分配金から差し引かれます。

ここで、各ETFを100万円購入した場合の年間分配金の受け取り額を比較します。

まず、米国株高配当ETFの購入時の手数料は、以下のとおりです。

  • 為替手数料:1,712円(100万円は6,849ドル(ドル円相場146円)ですので、1ドルあたり25銭の手数料は6,849×0.25円=1,712円)ですが、新NISAでは0円(SBI証券・楽天証券・松井証券)となります。
  • 買付手数料:3,212円(約定代金の0.495%ですので、6,849ドル✕0.00495=33.9ドルですが、最大手数料は22ドルですので、22ドル✕146円=3,212円)ですが、新NISAでは0円(SBI証券・楽天証券・マネックス証券)となります。

上記の購入時手数料が差し引かれ、米国株高配当ETFの元本は995,076円(6,815ドル)に目減りしますが、新NISAでは1,000,000円(6,849ドル)のままになります。

そして、分配金利回りを掛けた年間の分配金に米国課税を行った後のNISA口座での受取り金額は、下表の赤色枠のとおりです。

  1. SPYD:42,750円
  2. 1489:30,020円
  3. VYM:27,270円
  4. 1698:26,000円

トータルリターンで比較

2018年8月~2023年8月の5年間での株価の値動きは下表の動きとなっており、SPYDのみが2023年に入ってから高金利政策などの影響で下降していますが、その他は順調に増加傾向となっています。

なお、オレンジの株価は、VOO(S&P500連動インデックス)になりますが、S&P500ETFの方が高配当ETFより株価上昇幅が大きいですので、資産を最大限増やすためには、S&P500などに連動するインデックス型の投資信託が優れてきます

また、株価損益に分配金の利益も含めたトータルリターンの比較は、下図のとおりですが、5年間のトータルリターンで比較すると、以下の順位となります。なお、7年間のトータルリターンまで広げてみると、VYMもトータルリターンに優れるETFとなります。

  1. 1489:12.1%
  2. 1698:10.3%
  3. VYM:7.4%(7年間のトータルリターンは、10.2%)
  4. SPYD:4.1%(7年間のトータルリターンは、8.5%)

米国は2023年から景気後退局面の影響から日本株高配当ETFの方が10%台で優れた結果となっていますが、米国経済の将来的成長を考慮すれば、10年以上の長期スパーンでは、同様の10%台になってくると予想されます。

為替リスクで比較

日本株高配当ETFの為替リスク

日本円での取引きですので、為替相場の影響を受けず、分配金利回りに応じた分配金を受け取ることができます。

米国株高配当ETFの為替リスク

ドル円の為替相場は日々変動していますので、米国株高配当ETFをドル円相場146円で100万円購入した場合に、米ドルで支払われた分配金を日本円に両替して受け取る金額は、米ドル金額が同じでも為替変動により、以下の様に変化します

  • 円高(ドル円相場132円の場合):SPYDの分配金は、ドル円相場変動なしで42,750円だったのが、38,651円に分配金が減ります
  • 円安(ドル円相場160円の場合):SPYDの分配金は、ドル円相場変動なしで42,750円だったのが、46,849円に分配金が増えます

米国株高配当ETFの分配金を日本円で受け取る場合は為替リスク(増減しますのでメリットとデメリットを併せ持っています)と付き合う必要があります。

日米の高配当ETFのランク付け

高配当ETFを選ぶ際のポイントとなりますリスク分散分配金利回りトータルリターン為替リスクの四つに、長期少額投資が可能な最低購入額・運用期間が長いほど効いてくる経費率・ETFの存続を決める純総資産の三つを追加して比較した結果は以下のとおりになりましたが、1位~4位は概ね同率ですので、長期運用に適した高配当ETFになります

なお、新NISA成長投資枠への対応状況が現時点では不明なものもありますので、最新情報に注意して下さい

VYM《15点》

SPYD《15点》

1489(NF・日経高配当50)《14点》

1698(上場高配当)《13点》

新NISAでの運用

新NISAで高配当ETFを運用することで、分配金を受け取るたびに課税(米国10%・日本20%)されてた部分が、日本での課税が非課税になりますので、資産の目減りを減らせる最大のメリットになります。

なお、新NISAの成長投資枠で運用すると、年間10万円の分配金が、以下の受け取り金額になります。

  • 米国株高配当ETF米国10%課税後の9万円で受け取ることが出来ますが、新NISAで運用しないと日本での課税20%も追加され7万円の受け取りになってしまいます。
  • 日本株高配当ETF10万円で受け取ることが出来ますが、新NISAで運用しないと日本20%課税後の8万円の受け取りになってしまいます。

新NISAの成長枠での高配当ETFの運用方法を以下のブログにまとめていますので、ご覧頂ければ嬉しいです。

まとめ

日本株高配当ETFは分配金利回りが良くなってきており、高齢者が年金の補完として年4回分配金を為替リスクを避けて概ね定額で受け取る運用に向いているように見えます。

また、米国株高配当ETFは、分配金を受け取って投資効果を実感しながら分配金を再投資して資産も増やしていく運用をする方が、ドル円両替時期を見計らって為替差益も狙う運用を行うのに向いているように見えます。

どれを選ぶかは、それぞれの運用目的によって違ってきますので、柔軟に判断する材料として本ブログを参考にして頂ければ幸いです。・・・positive smile😊

  • この記事を書いた人

positive-smile

1961年生まれ、青森県出身、王林とルフィーが大好きな62歳です。 還暦を過ぎてから自分の人生を振り返り、体験してきた様々な経験をブログにまとめ、若い方から同年代の方々のライフデザインに役立つ情報を逐次発信しますので、宜しくお願いします。

-資産形成