今回は、課税方式の統一で変更された内容とそれへの対応要領を第2級FP技能士の私が解説していきますので、これを読んで頂けましたら、配当所得を確定申告するか?しないか?の判断基準が分かり、あなたにとって有利な税制選択ができるようになります。
結論は、会社員で課税所得が695万円未満の方が、総合課税で確定申告すると配当控除のメリットが受けられます。
配当所得に係る三つの課税方式
NISA口座では配当所得も非課税になりますので課税方式説明の対象外としており、特定口座(源泉分離課税)で取り扱う配当所得に係る課税方式について、これから説明していきます。
配当所得に係る課税方式は以下の3つがありますが、最も一般的なのは申告不要(源泉分離課税)で、配当金が支払われるときに所得税(15%)と住民税(5%)が源泉徴収され納税を終えることができます。
- 申告不要(源泉分離課税):確定申告を行わないで源泉徴収のみで完結させるものです。
- 総合課税:配当以外の他の所得と合算して所得税を計算する方法です。この場合は配当控除が適用されます。
- 申告分離:上場株式等の損失との損益通算をする方法です。株式等の売却損失がある人は得になります。
それぞれの特徴は以下のとおりですが、今回は配当控除のお話になりますので、総合課税について深堀りしていきます。
2022年分までの確定申告では、所得税は総合課税で住民税は申告不要を選択できましたので、住民税は5%のままと低く抑えることができました。
2023年分の確定申告からは、課税方式が統一されますので所得税で総合課税を選択した場合は住民税も総合課税になります。
下表は、累進課税率20%の課税所得330万円以上695万円未満の方を例とした場合の配当所得に掛る税率を表していますが、2023年分以降の確定申告では17.2%となってしまいますが、まだ申告不要の20%より少ないですので、課税所得695万円未満の方まではメリットがあります。
なお、累進課税率が23%(課税所得695万円以上900万円未満)になると、配当控除を加味した税率が20.2%となり、申告不要の税率20%より高くなりますのでメリットはなくなります。
配当所得を総合課税にした場合の社会保険料への影響
配当所得を確定申告で総合課税にしますと、住民税の総所得金額が増えて国民健康保険料の算定や、70歳以上の医療費の自己負担割合の判定に影響を及ぼし、国民健康保険料や医療費の負担を増加させるケースが出てきます。
そこで、確定申告をする方の属性(高齢者・自営業者・給与所得者・専業主婦等)によって影響する度合いを下表にまとめましたので参考にして頂ければ幸いです。
なお、下表の「〇」は影響が大きい、「△」は影響が少ない、「✕」は影響がないことを表していますので、高齢者と自営業者の方は影響を大きく受けますので、来年からの配当金の確定申告は、各市町村で国民保険料や医療費負担率の算定方法を確認して慎重に判断する必要があります。
申告者の属性ごとの配当所得の税制選択のお薦め
- 配当に興味のある全ての方:新NISAで配当金を非課税で受け取れば全てが問題ありません!
- 特定口座で給与所得者の方:課税所得695万円未満の方は確定申告して、配当控除を受けましょう!
- 特定口座で高齢者及び自営業者の方:国民保険・後期高齢の保険料及び医療費の自己負担率の増加分と、配当控除での源泉徴収された税金還付金を比較して選択しましょう!・・・基本は申告不要(源泉徴収)が妥当となります。
- 特定口座で専業主婦(夫)の方:扶養から外れない範囲であれば確定申告して配当控除を受けましょう! 但し、夫(妻)が自営業者の方は国民保険料が増えますので申告不用(源泉徴収)が妥当になります。
まとめ
2023年分の確定申告から配当控除をするかどうかの判断が特に高齢者及び自営業の方は必要となってきますのでご注意下さい。
新たな税制を事前に知っておけば、おのずと適切な対応が取れますので、皆さんのお役に立てれば幸いです。・・・positive smile😊